ノエル―森忠明『ハイティーン詩集』(連載32) 2022/07/31 by Ω No comments ハイティーン詩集以降 森忠明 ノエル 1999年の聖夜 小金湯のだんなが 古くて立派な銭湯と自分に放火 金閣寺炎上! と見紛う写真が新聞にのった 五十八歳 ひとりぐらしだったそう Continue reading →
合昏—森忠明『ハイティーン詩集』(連載31) 2022/06/30 by Ω No comments ハイティーン詩集以降 森忠明 合昏 「銭形平次捕物控」原作者の墓を左に、陸軍大将阿南惟幾の墓を右に見て、十メートルほど行くと、コンクリート製の古ぼけた便所がある。男女共用というか Continue reading →
眼黒—森忠明『ハイティーン詩集』(連載30) 2022/05/31 by Ω No comments ハイティーン詩集以降 森忠明 眼黒 死んだ幼友だちを主人公にして童話を出版したら 舞鶴市立志楽小学校の五年生持田範昭氏からファンレターが来た &nbs Continue reading →
処女懐胎―森忠明『ハイティーン詩集』(連載29) 2022/04/30 by Ω No comments ハイティーン詩集以降 森忠明 処女懐胎 深夜 祖母の看病に飽きた俺は 伊藤律の個室はどこかなと思いつつ 立川相互病院の暗い階段を上がった 4Fだったか 産婦人科ナースステーション Continue reading →
女流探偵―森忠明『ハイティーン詩集』(連載28) 2022/03/31 by Ω No comments ハイティーン詩集以降 森忠明 女流探偵 アポロ11号が月に着いた日に 砂川の農家から黒い雌犬をもらって ポロという名をつけた 旅先から〈森ポロ様―おまえのご主人は Continue reading →
黄ばんだ童話―森忠明『ハイティーン詩集』(連載27) 2022/02/28 by Ω No comments ハイティーン詩集以降 森忠明 黄ばんだ童話 朝の食卓で四歳の娘が 保育園へ行きたくなさそうにつぶやく 「いちごジャムはいいな びんのなかでねむっていられて」 パパもそう思う でき Continue reading →
食卓の風景—森忠明『ハイティーン詩集』(連載26) 2022/01/31 by Ω No comments ハイティーン詩集以降 森忠明 食卓の風景 東京キッドブラザーズ「十月は黄昏の国」のために 今朝もパンが幸せ色にこげる 嫁入り道具のトースターなのに きまって片側がこげすぎる 朝日 Continue reading →
祝婚—森忠明『ハイティーン詩集』(連載25) 2021/12/31 by Ω No comments ハイティーン詩集以後 森忠明 祝婚 ――たとえば マルクス主義者ではなかった ジェニー・マルクス ど Continue reading →
失う日―森忠明『ハイティーン詩集』(連載24) 2021/11/30 by Ω No comments 小詩集『おれは森忠明だ』(1967) 寺山修司編 森忠明 失う日 八月の西陽にしびの中で 便所の手水ちょうずがぷっつり切れたのが 失意の手はじめだった 俺はもともと ポケットを Continue reading →
夏―森忠明『ハイティーン詩集』(連載23) 2021/10/31 by Ω No comments 小詩集『おれは森忠明だ』(1967) 寺山修司編 森忠明 夏 立川基地拡張反対を叫ぶビラと外人ヌードショウの引札を一枚ずつ握った優しい父親が帰ってきて Continue reading →