老いの化粧――『ふっくらふしぎなおくりもの』 2024/10/31 by Ω No comments 森忠明 福岡市薬院生まれの書家木山稔氏は大学時代の友人だ。 三島由紀夫氏に可愛がられていた彼が「花ざかりの森」初版本を大事そうに抱えて、スクールバスから降 Continue reading →
焼き入れ――『ヒース咲く丘のホスピスから』 2024/09/30 by Ω No comments 森忠明 ハードボイルドな詩を書くS女史は、世界を股にかける旅行家であり、容赦のない論客でもあるので、涙などとは無縁かと思っていたら、先日、喫茶店で突然ポロポロと流しはじめたから驚い Continue reading →
近きにありて――『江戸時代・人づくり風土記45宮崎』 2024/08/31 by Ω No comments 森忠明 生まれ育った東京・立川市のことを、自分で悪く言ったり書いたりしているくせに、他所の人に悪く言われると反発心が湧いてくるのだから勝手なものだ。 古く Continue reading →
夢の性――『カブッチのオトコってヤだ!』 2024/07/31 by Ω No comments 森忠明 先夜、娘(六歳)とテレビを見ていたら、性転換手術を受けて女から男になった人が出演した。その手術には一千万円かかるというナレーションをきいた娘がいわく「わたしは女のままでいい Continue reading →
微罪か重罪か――『ドロボービルのものがたり』 2024/06/30 by Ω No comments 森忠明 この三年間に三回財布を拾って交番に届けたら妻に軽蔑された。「物欲しげに下ばかり見て歩いてるんでしょ」というのである。 私はミッドナイト・ハイキング Continue reading →
耐える力――『雪あらしの町』 2024/05/31 by Ω No comments 森忠明 一九六二年。中学二年生の私は学校新聞の編集長になった。その役得?で自作の詩のようなものを毎号掲載した。それらは今、スクラップブックの中で薄茶に変色。「基地の子」という題の、こんな拙いのを Continue reading →
癖なき人――『ぼく先生のこときらいです』 2024/04/30 by Ω No comments 森忠明 四月七日、小学校の入学式を終えて帰宅した新一年生の我が娘が「わたしたちの先生すごい美人で優しそう。よかったあ!」と報告したので、「ボクも生徒になりたい。美人の顔を拝みたいな」と言った。す Continue reading →
例外の快楽――『あまのじゃくのてんこちゃん』 2024/03/31 by Ω No comments 森忠明 高校に入ると、現代国語担当のS先生は”純文学至上主義”で、推理小説は文学じゃないというふうなことをのたまった。カチンときた私は授業中に松本清張(たしかカッパブック Continue reading →
偽悪の名人――『頭にきちゃう!』 2024/02/29 by Ω No comments 森忠明 先日、中学時代の恩師土方ひじかた憲司先生(あだ名はドカちゃん)から三十四年前の学級日誌が郵送されてきた。「忠明君の仕事に役立つんじゃないかと思って」という添え書き。その黄ば Continue reading →
ドナー失格ーー『青い鳥は生きている』 2024/01/31 by Ω No comments 森忠明 NHK東京放送児童劇団の座付き作者になってから四半世紀が過ぎた。小一から高三までの少年少女二百名は、プロの俳優にはない魅力を持っている。今夏、新宿で私の処女戯曲が彼らによ Continue reading →