生き物語-自然は尋常でない!67話「オオミズアオ(大水青)」

若生のり子NORIKO WAKO)

 

蝶の様にあわい緑色の白い美しい羽をしていますが、大型の「蛾」の一種です

成虫の羽を広げた大きさは80㎜~120㎜もあります

 北海道から九州にかけて分布し、平地から高原まで生息域も広いので

さほど珍しくないありふれた普通種ですが

大都会の住宅地に住んでいます私にとっては、初めての出会い

真夏のまだ太陽が昇リきらない薄暗い明け方でした

玄関先の深緑の植え込みの中に楚々とした白い大きな蛾が目に留まりました

緊張といささかの興奮を覚えながら

飛び去って行かれないように息をつめて撮りました

蛾の正面から撮りたかったのですが

何分引きがなく身動きもできない狭いキリキリの状態でした

特徴である茶色い触覚の櫛歯状が、鮮明に撮れないことがとても口惜しく思いました

 

驚くべきことに、成虫は口が退化していて、物を食べたり飲んだりすることがないそうです

 生き物の常識からかけ離れた「飲み食い」が不要だなんて

不・思・議

そういう生臭さを感じさせない

幻視的存在

神様から、短い生涯(約1週間)を生ききるエネルギーのみインプットされているのでしょうか

其れが尽きたら、途絶える命

儚い運命

古い和名『ユウガオビョウタン』

 

 

 

 

ぽっちゃりしてピンク色の足

怪しく艶めかしい

想像だにしなかった

 

節足動物門 Arthropoda
昆虫網 Insecta
チョウ目
ヤママユガ科 Saturniidae
Actias属
学名 Actias aliena
和名 オオミズアオ(大水青)
この世のものと思われない青ざめた幽界の水の色
和名にちなんで(昔は緑を青といっていた―信号がそうであるように)
英語では「Luna moth(ルナ・モス)」と呼ばれ、月の女神(素敵ですね )

わこう のりこ (Artist)
(pubspace-x9300,2022.12.12)