週末―森忠明『ハイティーン詩集』(連載17)

(1966~1968)寺山修司選

 

森忠明

 
週末
 
若いのだ ということ
不覚といえばそれだけで
おれもやはり土曜は半どんで多少多く愛するだろう
 
旅にでれば哀しい過去の女中ばかりで
旅からもどればポニイテイルの一人娘が
銀髪の父上とテニスに興じる晩夏だ
 
生まれもしない滅びもしない約束で
ほんの思いつきのように
ぷっかり浮上して おれもやはり
不日滅びるだろう
不覚といえばそれだけで
週末にはこうして宇宙のように香る片脳油の名画座の
腐りかけの椅子に抱かれて居る
地上のどこかシェルブウルに雨が降り
銀幕にも雨が降りしきり
フランソワズの母親がフランソワズに
人生を台無しにさせたくないんだよ と叫んだところ
 
(もりただあき)
 
(pubspace-x8139,2021.04.30)