若生のり子(NORIKO WAKO)
万葉集の時代には、単に「花」と言うと、桜ではなく梅を指したということで、100首以上も詠われています
梅の花 今盛りなり 百鳥の声愛しき 春来たるらし(田氏肥人)
雪の色を 奪ひて咲ける梅の花 今盛りなり 見む人もがも(大伴旅人)
我が背子に 見せむと思ひし梅の花 それとも見えず 雪の降れれば(山部赤人)
春されば まづ咲く宿の梅の花 独り見つゝや 春日暮らさむ (山上憶良)
元号「令和」が、現存する日本最古の和歌集である『万葉集』(759年)の梅花の歌三十二首の序文の一節
初春令月、気淑風和、梅披鏡前之粉、蘭薫珮後之香
「時あたかも新春の好き月(よきつき)、空気は美しく風はやわらかに、
梅は美女の鏡の前に装う白粉(おしろい)のごとく白く咲き、蘭は身を飾った香の如きかおりをただよわせている」
から採られたのも記憶に新しいところです
出典 /中西進『万葉集 全訳注 原文付』
岡本公園の梅
野放図な野趣に満喫
静嘉堂文庫の庭園の梅
端正な庭師の技が感じられるのも良い
原産地は中国で、バラ科サクラ属のスモモ亜属に属する落葉高木です。
現在、梅には300とも500とも言われる多彩な品種があります。
一般には、白い梅を「白梅」、赤い梅を「紅梅」、枝垂れた梅を「枝垂梅」と呼びますが、これらは品種の名称ではありません。
分類として、花を楽しむための花梅(ハナウメ)と、実を採取するための実梅(ミウメ)に分かれます。
様々な特徴から3系9性に分類されています。
野梅系(やばいけい)、緋梅系(ひばいけい)、豊後系(ぶんごけい)の3系です。
野梅系の品種はさらに野梅性、紅筆性、難波性、青軸性の4性に、
緋梅系の品種はさらに紅梅性、緋梅性、唐梅性の3性に、
豊後系の品種はさらに豊後性と杏性に2性に分けられます。
中国では、古くから食用、薬用として利用されていました。7,000年前の遺跡からも梅が出土しています。
日本には、花を観賞用する目的で持ち込まれたと言われています。
ただし、近年の調査では日本の梅の品種と中国の梅の品種は遺伝的な差が大きく、
人間が人為的に日本に持ち込む以前から日本に自生していた梅が広がっていった可能性もあることが示唆されています。
縄文時代末期の遺跡や、弥生時代には全国各所の遺跡から梅の種が発見されています。
本格的に普及したのは、奈良時代のことで、平城京跡からは、2,000個ほどまとまった数の梅の種が発見されています。
MK公式ツイッター資料よりまとめ抜粋
わこう のりこ (Artist)
(pubspace-x12811,2025.03.14)