遊園―森忠明『ハイティーン詩集』(連載18)

(1966~1968)寺山修司選

 

森忠明

 
遊園
 
うまい物を食べて帰ろう
珍芸の犬たちも辛くなったらしいし
切符をもぐおねえさんの口紅も褪せかかった
 
あと十年もしておまえが男友だちと
春先のこの遊歩道を歩く頃には
おれは三十のおじさんで
まだ詩など書いているだろうか
 
きまり悪いほど丁寧に色雑多なパンジーを
よくもああ植えたもんだな
あれは誰の仕事なのかね
おい片っぽの靴下がたるんでいる
それをたくしあげたら
うまい物を食べて帰ろう
 
(もりただあき)
 
(pubspace-x8149,2021.05.31)