若生のり子(NORIKO WAKO)
今を限り、満開の見事さが永遠に続くわけではないけれど、次の幕では、速くも散って仕舞うという短い命に、恨みがましく思ってしまうのは、、、。
諸行無常
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「櫻」という文字は「木」と「嬰」から成り「嬰」の貝2つは、女性の首飾りを指し「とりまく」という意味があり、櫻は花が直接木を取りまいて咲く木の事とされているそうです。
サクラという名前の由来は諸説ありますが、
サクラの「サ」は穀霊(穀物の霊)を表す古語で、「クラ」は神霊が鎮座する場所を意味し、「サ+クラ」で、自然崇拝として霊の集まる依代(よりしろ)を表し、いわゆる「神樹」という説。
古事記の伝説の女神「このはなさくやひめ(木花開耶姫)」の「さくや」が転じて「さくら」となった、という説。
麗(うら)らかに咲くという意味の「咲麗(さきうら)」が転じた、という説 等々
<竹田出雲の仮名手本忠臣蔵(1748年)に「散る桜」を用いた「花は桜木 男は武士」の台詞は、日本人の桜観を大きく変えた>と小川和佑著「桜と日本人」
武士の「主君のために惜しむことなく潔く命を散らす」という人生観が形成されていったということです。
それが、戦争中は軍国主義の戦意高揚に用いられ、「特攻機桜花」や「同期の桜」の歌詞で「見事に散りましょ 国のため」と歌われて利用されました。
古代の農耕の神樹から、平安時代の歌集、江戸時代の武士の魂、戦時の軍国主義の道具、春を祝賀する庶民の酒宴、など日本人の精神の基調、様々な営みにおいて切っても切れない深層心理に入り込んでいるサクラであることがよく分かります。
現在でも春の喜びの象徴で、3月中旬からから4月にかけて桜前線(ソメイヨシノの開花)と言われ、どの地域に最初に開花するかが人々の関心事のひとつになっているのはよく知られていることです。
満開の絶頂期に散るという潔よい見事な生き方に、またその最後の姿の舞い散り方にも「もののあわれ」・叙情を誘い、地に落ちたさまにも儚い風情を残すように、
人生の投影・感情移入のし易さに、文芸の題材には事欠かない絶好のサクラですから、古今多くの歌や詩に読まれたのでしょう。
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(わこう のりこ Artist)
(pubspace-x1841,2015.4.7)