生き物語ー自然は尋常ではない!<ミツマタ>115話

 

若生のり子NORIKO WAKO)

 

春去|先三枝|幸命在|後相|莫戀吾妹

春されば まづ三枝(さきくさ)の 幸(さき)くあらば 後にも逢はむ な恋ひそ吾妹(わぎも)

春が来ると先ず咲く三枝の花のように、幸せ(無事)であればいつかきっと逢えるでしょう
恋い焦がれて苦しまないで、いとしい人よ

まづ三枝(さきくさ)は「まず咲き」と「幸(さき)くあれば」にかかる掛詞

万葉の時代に歌われるほど古代から親しまれている花木です

                                  出典/万葉集1895番10巻柿本人麻呂歌集

小学生の頃理科の授業で、和紙の原料としてコウゾ、ミツマタという名前を知りましたが

実際の花姿を見たことがありませんでした

灯台下暗し

ところが、ご近所の岡本民家園の庭に、いつしか植えられていました

わたくしとしたことが、W

図鑑の小さな写真ではディテールがはっきりしなかったために、このような花姿とは思いもよりませんでした

実物を目の当たりにして

辺り一面に漂っている強く甘い芳香寄り添って密集した小花達の個性的な存在感に圧倒されました

ミツマタは、その枝が必ず三叉、すなわち三つに分かれますので

「ミツマタ」と名付けられました、三枝三又とも書きます

春を告げる花のひとつで、落葉広葉樹の低木樹高は1~3mになります

特徴は、3~4月頃葉が出る前の3つに分かれた裸の枝先に

黄色の小さな花が球状にみっちり塊になった重量感のある大輪の花を下向きに咲かせます

花には花弁がなく、筒状で先端が四裂したがく筒がつき、外側に白い細かい毛が密生しています

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

中国原産だけあって、枝ぶりといい、花といい、大胆で骨太なのは、大陸育ちだからと納得します

かそけき島国日本の侘び寂び風雅なんぞは、け散らかされそうです

とても複雑で繊細なのに、このにこやかでアッケラカンとして何事にも動じない感覚に『得難いものだ』と思いました

しばし見とれました

 

(此花のディテールを撮るためには、木の下にかがみ込みカメラを上向きにして撮影しています

下向きに咲いている感がないように見えますのはそのためです)

 

幹は株立ち状になり、枝は横に広がる樹形となる。
樹皮はは灰褐色で滑らか、一年枝は紫褐色で、7月ごろに新芽が3つに分かれて枝が伸び始める。
葉は互生で、葉身が長さ8 – 15mの広披針形、樹皮は繊維質が強く、和紙の原料、特に日本紙幣の原料として重要である。
和紙は、約1年で生育する枝の繊維を原料としており、ミツマタで漉いた和紙は、こすれや折り曲げに強い特徴がある。
現代の手漉き和紙では、コウゾに次ぐ主要な原料となって、手漉き鳥の子和紙ふすま紙は、ミツマタを主原料としている。

門:被子植物
目:フトモモ
科:ジンチョウゲ
属:ミツマタ
種:ミツマタ
英名:Oriental paperbush
原産国:中国
花言葉「肉親の絆」「永遠の愛」「強靭」「意外な思い」「壮健」等
ウィキペディアより

 

わこう のりこ (Artist)
(pubspace-x12892,2025.03.28)