若生のり子(NORIKO WAKO)
トワイライト・ゾーンの曼珠沙華
昼から夜になる一瞬の裂け目
薄暗い庭の片隅
逢魔が刻
幼いころによく見かけた、変電所の焼け跡のコンクリートの瓦礫におびただしく巣くっていたシマトカゲ
私にとって、シマトカゲは、敗戦後の夏の一つの原風景だ
何十年も思い出さなかったが 心の奥の思いが通じたのか、3年ほど前から我が小さな庭に現れた
あの時以来ずーっと、どこに行っても見かけなかったのに
爆弾で半壊し赤 錆びた鉄骨が露わにねじまがった鉄筋コンクリートの建物
子供たちの、怖いけれどゾクゾクするミステリーゾーンの遊び場だった
物音なくコンクリートの瓦礫の裂け目のいたるところに出没する青くつややかに光るシマトカゲは ミステリーゾーンの水先案内人だった
コッチダヨ!コッチダヨ! と誘っていた
チルチルミチルの人生の奥深さを知っていく冒険のように
そこは、有刺鉄線に囲まれた立ち入り禁止の「場」だったが
「青い鳥」ならず「青いトカゲ」
「幸せは身近にあった」 というような単純で短絡した話ではない
オレンジ色のカラスウリはよく見かけるが、
黄色のカラスウリは初めて見た
しかもこんなにたくさん
東京という大都会で
すぐ近所の丸子川に近年冬場には必ず来るようになった
闇夜のカモ
何かやりそうな
楽しい眼と嘴
お正月やおめでたい時に飾られる南天だけれど
こんなに形状の違う実たちをつけているとは知らなかった
大きいのや小さいのだったら驚かないが
ひょうたん型や、なすび型や、でべそみたいのがくっついてる三宝柑のようなものもあって
にぎやかで、楽しそうで、多様性の象徴のようだ
南天の実は丸くて可愛いだけじゃない
既成概念で判断するなと言われている
そして
魔性を帯びて
そして
ふとよぎる
アレの影響か?????
名も知らぬ雑草の枯葉にくっついた霜の結晶
ウーン 魅了される
宝石以上だ
(わこう のりこ Artist)
(pubspace-x1455,2015.01.05)