生き物語‐自然は尋常ではない!ユーモラスな木のうろ(洞=穴)91話

 

若生のり子NORIKO WAKO)

 

落葉しきった裸の木木を見ていますと

自然のうろ(洞=穴)が結構たくさん見かけられるのが気になりました

うろ樹洞(じゅどう)ともいいます

うろがどうしてできるのでしょうか?

うろがある部分にはもともと整枝の切り口や傷などがあって

その傷口から木材腐朽菌(キノコに近い菌類で褐色腐朽菌、白色腐朽菌、軟腐朽菌)が自然に侵入し感染します

木自体に備わっている防衛本能で侵されにくい物質を分泌しながら盛んに細胞分裂をくり返し防御壁を作ります

殆どのうろの周りが盛り上がっているのはそのためです

腐朽菌が表皮部分から侵入して木部の柔らかい中心部分をぼろぼろに腐食した結果

うろ(洞=穴)が発生するという訳です

木の生命力と菌や虫の侵食が程よいバランスで事なきを得たときに

偶然としか言いようのない小さな奇跡が起るのです

さもなくば、腐朽菌がまん延して枯れてしまう運命を余儀なくされるでしょう

不可視の状況下で木は生命維持のため賢明に闘っています

 

 

とぼけたような大口を開けていて、つい笑ってしまいます

ハハハハ~

 

 

 

 

うろのまわりがガタガタに険しくなっているのは、たいへんな苦闘の末を物語っています

よく頑張ったね

 

 

 

 

可愛いおちょぼ口

 

 

あっけらかんとして、可愛いですね

 

 

 

うろがこんなにたくさん一本の木に在っても、初夏には青々と茂ります(同根で地表面で二股に分かれています)

小枝には赤い小さな新芽が見えます

 

 

 

欅の大樹です

うろだらけの状態なのに枯れず

毎年、4~5月に先ず薄黄色の花そして柔らかな黄緑の葉を芽生えさせ

夏の茂りも大樹らしく他を圧倒して涼やかな日陰を作ってくれます

 

なぜなのでしょう? 

 それは、養分や水分を吸い上げて木全体に運ぶ機能は木の表皮のすぐ下の層で行われているからです

その部分さえ健康であれば、木の中心部が腐ってがらんどうになっても木は生きていられるのです 

 

自然は誠に素晴らしい命のシステムを自ずからもっています

いやはや、尋常ではありませんね

 

 

わこうのりこ (Artist)
(pubspace-x10929,2024.02.16)