たのしい川べ―森忠明『ハイティーン詩集』(連載34)

ハイティーン詩集以降

 

森忠明

 
たのしい川べ
 
「日本一美しい町」の五月の川で
きみと水切りをした
帯広の詩人梅津邦博氏は
「日本一美しい川は札内川です」
と言ってたけど
あそこは急流が多くて水切りにはむいていない
はたちの頃からやってきた煙草や性交やドライブや
賞のやりとりなんかには飽きたのに
水切りあそびには飽きていないことに気づいた
それにしても
きみのコントロールのひどさ!
久しぶりに大笑い
川へ投げたはずの小石が
どうして自分の背後に着地するんだい
英語使いだから知ってると思うけど
あのあそびはducks・and・drakesっていってさ
duck=可愛いひと、変なやつ
俺たちにぴったりの児戯だった
笑えてしようがなかったけど
砂防のためだろうアカシヤたちは
俺の哄笑を冷笑ぎみに
死霊のように香っていて
釣人たちは怒って帰ってしまったな
 
(もりただあき)
 
(pubspace-x9025,2022.09.30)